2026/02/24 10:07




アンスリウムを育てる際、誰もが指標にする「湿度80%」という数字ですが、同じ80%でも「衣装ケースの中」と「6畳の温室部屋」では、植物が受ける恩恵とリスクは全く別物です。

数値(定量)だけに捉われず、自分の育成環境の「空間容積」に合わせた管理術を身につけたいものです。今回は、そのあたりに触れてみます。

1. 「狭いケース育成」の落とし穴:湿度の停滞と蒸れ


ガラスケージや衣装ケースなどの密閉空間は、湿度を維持しやすい反面、空気が「酸化(停滞)」しやすいという致命的な弱点があります。

リスクとして、たとえば、葉の表面に結露が残り続け、そこから菌が繁殖して新芽が「とろける」ような傷みが発生します。

こうした時に重要なのが、気流をデザインするということです。狭い空間でサーキュレーターを回すと風が強すぎます。USBファンなどの超小型ファンを「天面」や「壁面」に向けて設置し、空気を「反転」させる程度の微風を作りましょう。

また、管理のコツとして、湿度が95%を超え続けるようなら、あえて数ミリの隙間を作り「湿度を逃がす」ことで、新鮮な空気の通り道を作ることが生存率を上げます。衣装ケースで管理している場合は、フタを少しずらすだけでも大きな違いを生むと思います。

2. 「大きな空間育成」の死角:局所的な乾燥スポット


一方、部屋全体を温室化している場合、加湿器のモニターが「80%」を示していても安心はできません。

空間が広いため、空気の対流によって局所的に乾燥するスポットが必ず生まれます。棚の奥や、加湿器から離れた場所だけが実は50%台まで落ち込んでいることが多々あります。

この時も、気流をデザインするということが大切です。いわゆる 首振り機能は使わず、サーキュレーター2台を対角線上に配置して、部屋全体に大きな渦を作らことを心がけます。

1台は床の重たい空気を上へ、もう1台は天井の暖気を下へ送るように交差させます。植物の葉が1分間に数回、わずかにプルプルと震える程度の微風が届いているかを確認してください。

3. 季節がもたらす「数値の嘘」と冬の冷え込み


日本の四季は、温湿度計の数字以上に過酷な環境変化をもたらします。特に、冬の「足元」には注意が必要です。

温湿度計のモニターが20℃を指していても、それは目線の高さの温度かもしれません。暖かい空気は上に溜まり、冷たい空気は床付近に沈殿します。床直置きのケースや棚の下段では、根の温度が15℃を切っている底冷えのリスクがあります。温湿度計は必ず鉢の高さに置きましょう。

また、これからの季節であれば、夏・梅雨の高湿度は、時に凶器にもなりえます。湿度を維持する考えから、24時間、空気を淀ませない考えへシフトすることが必要です。

湿度が一時的に60%まで下がっても、風が動いている方が、高温多湿による腐敗を防がことができます。季節の変わり目だからこそ、今後はこうした微細な変化に敏感になることが重要です。

このように、機械に頼ることはとても危険で、最終的に重要なのは肌感です。おそらく、これが最高のセンサーになるでしょう。

温湿度計を見ることに加えて、狭い空間なら「逃がす勇気」、広い空間なら「混ぜる工夫」を意識してみてください。この使い分けができるようになれば、アンスリウムの繊細なベルベット質を、1年を通して美しく維持できるようになります。